zebraexの遍歴

読むかどうかはともかくとして

ガステレビ

大学の古い校舎に私の研究室はあった。
頑丈な机の上に実験装置とパソコンが置いてあって、私はパソコンを使ってレポートを作成している。
マウスとキーボードが使いづらい。プロ用のアプリケーションでは右クリックをメインに使うのだが、どうもそれに慣れないのだ。左右のボタンが反転したマウスを自費で購入して、取り替えようかと考えるが、この研究室は資金を提供している協力企業も使用するので、そういう訳にもいかない。

作業を終えた私は寮に戻る。校舎よりさらにボロボロのそこでは、どの部屋も煌々と電球の光が灯っていて、密かに人類地球脱出の計画が進行中なのだ。私はその計画の中で、ガス機器の開発リーダーであった。

助手である同じ学部の後輩に、ガス暖房機器の作り方を説明している。最も単純な構造はガス管をつなぎ、火をつける、というものだが、それでは炎の制御が難しく危険なので、ニクロム線を使用することで炎と発生熱を安定させることができる。

計画のリーダーが私の部屋を訪れて、一酸化炭素の大量生産を命じる。私はより重要なパートを任されたことに興奮して、徹夜で打ち込んだが、製造装置が煤だらけになって失敗してしまう。

疲れた頭で原因を追求すると、結局、非主流派の妨害工作だったことが判明する。私は腹を立てる前に、ひどくうんざりしてしまう。

徹夜明けのまま研究室に行くと、机の上に学術雑誌があって、ちょうど、自分と同じテーマを扱った論文を見つける。それによると電流の流し方によって十方向の電磁誘導が発生する特殊なコイルがあるとのことだった。私は、状況を改善できるのではないかと考えて、コイルの入手方法を検討する。

夕食を食べようと大学の食堂に向かう。何故か、電灯がついていなくて、暗闇の中で大勢が寝ている気配がする。驚く私にその中の一人が「ここはそういうシステムだから」と説明する。
私は、暗闇の中で魔夜峰央の漫画を探す。誰かの枕元を通る度に「パタリロが好きなので」と言い訳していると、どこからともなく「初期の雰囲気はここと似ているね」という返事が返ってくるのだった。

2011-08-15